藤谷が2021年8月19日に大田総合医育成センター/大田市立病院主催の育成塾で講演を行いました(写真あり)。

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2021年8月19日 大田総合医育成センター/大田市立病院のセミナー(育成塾)で講演を行います。 「自閉スペクトラム症モデル動物・細胞における神経生物学的解析」 自閉スペクトラム症(ASD)の特徴は、社会的コミュニケーションの障害や、興味・行動・活動が反復することである。最近の統計によると、約68人に1人の割合で起きるといわれており、女児よりも男児で4倍多くみられる。現在、たくさんの原因遺伝子がみつかってきているが、いまだ共通のあるいは特異的な異常神経回路は明らかでない。その完治への道のりは遠く、なんとかして異常神経回路を見つけ出したいと考えている。私たちは、染色体15q11-13領域の重複に着目して研究を行っている。この領域は、ASDの危険因子となることが確立されている。 まず、15q11-13重複のASD患者より採血をして、京都大学のCiRAにて確立したiPS細胞を大脳皮質神経細胞に分化させ、神経細胞の形態を観察した。個々の神経細胞に特徴的で、活動依存的に変化する軸索初節について解析を行い、15q11-13重複患者由来の皮質神経細胞の軸索初節の長さの異常を認めた。さらに研究をすすめ、15q11-13微小重複モデルマウスを解析した。社会性行動や記憶、意思決定や不安などを司ると考えられている、ventromedial prefrontal cortex(vmPFC), 腹内側前頭前皮質における5層の錐体細胞の軸索初節の短縮を認めた。この軸索初節解析結果をもとに神経回路異常を同定しようと試みている。最新の研究成果を交えておはなししたい。

オンラインでのセミナーになってしまいましたが、参加者の皆さんが活発な議論を行っていただき、感謝申し上げます。若い先生方の心の小さな研究の炎を大事に育てていっていただけたらと強く願っています。